4月読了 [本]
田村はまだか (光文社文庫)
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朝倉 かすみ
光文社 (2010-11-11)
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この作家さんの名前、なんで知ってるんだろう、と思っていたらこれだったか。
確か何か賞を獲ってたよね?
同窓会でしたたか飲んで数人がまだ残っている。
それは遅れてやってくるはずの田村を待っているから。
そういう話なんだけどいやはや、よく練られていて面白い。
合いの手のように頻繁に「田村はまだか」という文体のリズムも楽しい。
残念ながらわたしには同窓会でここまで登場を待ち望むような人はいないので、ちょいとうらやましい気もする。
猫ものということで手を出した本。
淡々としていて、男性が歳を重ねて達観して皆こんな風になったら戦争も起きないだろうな、などと思ってみたり。
古女房的な猫と主人公の会話がなんだか楽しい。
わたしはひとり気になる作家がいたら、その人の本をひたすら読んでしまう、という癖があって、最近はこの小路氏が気になるのであった。
図書館に勤める男性が、その図書館独特の仕事に派遣される。
それは本の内容が話虫によって書き換えられてしまうのを、その小説の中に入って直す、というもの。
がっつりファンタジー。こういう話はむしろ映像向きのような気がするな。
潜入する話は夏目漱石のこころ。
夏目漱石はどうも肌に合わないのであまりノレず。
広げた風呂敷が広がったまんま終わった感もあり。
発想はよかったけど、もうひとひねりほしい。
わたしが小川洋子という作家を初めて意識したのがこの小説・・・
と言っても映画で知ったんだけど。
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これです。
予告編を見てたまらなく面白そう、と思ったら原作者は日本人だというのでびっくり。
映画はそれはもう、ミステリアスで淫靡でけだるくて喉の渇くものだった。
本当にこんな世界観が日本人に書けるのか?とずーっと疑問だった。
だって博士の愛した数式 の作家でしょ?まった毛色が違わない?
で、読みたいと思いつつ、なんとなく自分で探すことをせずにいたら、うっかり図書館で巡り合ってしまったのだった。
ああ、あの世界だ、と思った。
恐ろしく完ぺきにあの映画はこの小説の空気を映像化してみせたのだなぁ、と。
ちょっと身震いするくらい。
また映画のほうを見たくなった。そしてちゃんと本屋さんでこれは買おう、と心に決めた。
2014-05-09 15:06
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