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さよなら歌舞伎町 [映画]



親や同棲する彼女に一流ホテルで働いている、と偽り、歌舞伎町のホテルで働く徹。
AVの撮影でやってきた女優は徹の妹。
微妙に倦怠感漂うミュージシャン志望の彼女は音楽事務所の男と、徹が働くホテルにやってくる。
時効間近の男と、その共犯者でホテルの清掃員として働く女。
韓国人の風俗嬢とその恋人。
デリヘル嬢スカウトと、それにひっかかった家出中の女子高生。
ノンキャリアの女性刑事と、上司であるキャリア刑事の不倫カップル。
彼らが織りなす24時間のお話。

去年歌舞伎町へ初めて足を踏み入れたけれど、確かに独特な空気を持つ街だった。
ひとことで言ってしまえば「いかがわしい」笑
でもこの1時間くらい観察してみたいな、って人はけっこう多かった。コンビニとか見てても面白そう。

臆面もなくできすぎた出会いはあるけれど、うまいことラブホテルを中心にした群像劇になってるかなぁ、と。
ただ「俺の居場所はここじゃない」と不貞腐れつづける主人公は、最後に歌舞伎町を去るのだけど、本当にさよならしたのかなぁ?また戻ってきてしまうような気がするけれど。

それにしても突出していたのがデリヘル嬢を演じたイ・ウヌ(イ・ウンウとも表記されるみたい。韓国の発音難しい・・・)。
この存在感なに?特別美人てわけじゃないのに、ひきつけられる。
大久保のヘイトスピーチの横を通るときのいたたまれない表情、馴染み客を相手に片言の日本語で愛嬌ふりまく表情、もうすぐ去る歌舞伎町をぼんやり眺める表情。
どれもハッとするほど透明感があって美しい。
そして何より驚いたのが。
この人、メビウスで二役をこなしていた女優さん!!



ぜ、全然気づかなかった・・・
顔立ちが地味なだけにいろんな色に染まれるのね・・・

と、ほとんど彼女にもっていかれた感もあるけれど、家出女子高生の我妻三輪子ちゃんもかなりキュートだった(彼女の語るエピソードの使い古され感はひどかったけど)。時効待ちのカップルと共にかなり甘いエピソードで、この映画、リアル歌舞伎町、というよりはおとぎ話っぽくなってしまってるような。
そこのところは食い足りないっちゃ食い足りない。

実はいちばん怖いな、と思ったのは主人公の妹のエピソード。
彼らは東北の被災地出身という設定で、妹は学費に困ってAV女優のバイトを始めたことになっている。

以前はユニクロの服を一枚買うにも迷ったけれど、今は1万円くらいの服なんてすぐ買っちゃう。お金のない生活なんて考えられない。

と可愛い顔して妹は言い、兄もそれに対して何も言わないのだけれど。
まさに人生の堕落(という言葉はちょっと違うかもしれない)はその感覚からはじまるのだろうな、と。
おそらく、彼女は今後学校を出て就職したとしても、その職を続けられないだろう。
一度簡単に稼ぐことを知ってしまった人は、多分まともには働けない。
人は簡単なほうに流れていくものだから。
若くて、わたしはそんなにバカじゃないもん、と思っている若者ほど、おそろしく無防備で愚かだ。



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