SSブログ

アメリカン・スナイパー [映画]

これは、難しい映画だと思う。
見る人によって「反戦映画だ」と思う人もいるだろうし、「人殺しをたたえているだけの好戦映画だ」と思う人もいるだろう。

わたしは・・・映画自体は反戦映画には思えなかった。
戦争を描いているけれど、戦争に行ったことでひとりの平凡な男がどう変化していったか、というドキュメンタリーに近い感触。
主人公は4度のイラク派兵で160人を殺した実在の人物。
時代遅れのカウボーイのような生活を送っていた彼を突き動かしたのは、純粋な愛国心(まあこのテの愛国心とやらにわたしは虫酸がはしるのだが)。
入隊すると、幼いころから父に銃の扱いを教え込まれていた彼はめきめきとその腕を上達させる。

そして派兵。
最初の彼の標的はまだ幼い少年だった。

最初がこんなふうだなんてあんまりだ!と彼は嘆く。
が、大人ならいいのか?その人にだって幼い子どもがいるかもしれない。
自分と同じように身重の妻がいるかもしれない。
弱きものの夫を、父を殺すことには、彼の心は痛まないのか?

もちろんそんなことはなくて、日を追うごとに彼の闇は深くなる。
愛する妻と子の元にもどっても、心はそこにない。
空っぽの夫の姿に妻は絶望を深くする。
除隊してくれと頼んでも、なにかにとらわれたようにまた戦地へ向かう夫。
戦争と言うのは本当にむなしい行為なのだなぁ・・・

闇は深くなるけれど、その一方、彼は心底銃が好きなのだ。
動くものにその弾を命中させることに喜びと恍惚を感じている。
敵方の名スナイパーを射止めた瞬間の彼の表情がそら恐ろしい。


映画は彼が除隊して健全な精神を取り戻し、殺されるところで終わる(ネタバレだけど、最近犯人への判決もニュースになったことだし、問題ない・・・よね?)
彼の葬儀のシーン、静かな熱狂とでもいうべきあの国の人々の姿。
あれにはちょっと背筋が寒くなったというか。
アメリカと言う国は、反戦を訴える人もいるけれど、大多数はやはり戦争が大好きなんだろうな、と思ってしまった。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。