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トイレのピエタ [映画]

手塚治虫が日記に残したアイデアをもとに映画化したそうな。
主演は人気ロックバンドRADWIMPS(このバンド、名前はかなり前から知ってるんだけど、未だに読み方が覚えられない・・・)の野田洋次郎。
主人公が偶然知り合う女子高生・真衣に、CMでぶたもやしを大食いしている・・・否、なぞの転校生のアスカ、杉咲花。

画家になる夢を諦め、窓ふきのバイトで日々をやりすごす園田。
ただ呼吸だけをするような毎日に、突然宣告された余命三か月。

美しい映画だと思う。特に好きなのは赤い金魚を大量に買ってそれを学校のプールに放し、真衣が一緒に泳ぐシーン。
物も言わず、ただひたすらに泳ぐ魚。
それはまさに死を宣告される前の園田のようだ。
何も考えず、ひたすら周囲に合わせて流れていく・・・

美しいんだけど、学校のプールに魚いれたら多分すぐ死んじゃうよなぁ・・・などと夢のないことを考えてしまった。

ぼんやりとしたまなざしで眺めていた世界を、しっかりと見つめることで、今まで見えなかったものや、見えていても見えないふりをしていたもの、知らなかったもの。
生きていることはたいへんだけれど、それでもやはり、美しいものだとゆっくりと理解していく園田を、野田洋次郎は実に自然に演じている。
美男子では決してないと思うんだけど、独特のたたずまいがこの役にぴったりはまっている。
またどうしようもなく不幸な環境と孤独にはち切れそうな少女を、杉咲花がエネルギーたっぷりに表現していていい。

ただまあ、使い古されたシチュエーション、言葉足らずだし独りよがりなシーンも多くて上出来とは言い難い。つたない映画ではある。
それでもこれは人の記憶に残る作品だと思う。

ワンシーンだけ佐藤健くんが出ております。
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