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そこのみにて光り輝く [映画]

自分のミスで仕事仲間を殺してしまったと、仕事を辞めて怠惰な生活に明け暮れる達夫は、ある日パチンコ屋で人懐っこい青年の拓児と出会う。
誘われるまま彼の家に行くと、そこには寝たきりの父と無気力な母、そして家族のために一日働き通しの姉・千夏がいた。
達夫と千夏はひかれあうようになるが・・・

海炭市叙景の原作者、佐藤泰志の小説を映画化。
両作品とも原作は未読。映画はどちらも同時代に生きる人の話とは思えないほど貧しく暗い。
自分の家もけっこう貧乏だったと思っているのだが、これを見るとどれだけ恵まれた環境だったかが思い知らされる。

千夏は昼はイカの缶詰工場、夜は売春をして一家の暮らしを支えている。
家にしばられどこにも行けず、未来をあきらめ、ただひたすらに生きるだけの日々。
達夫は売春のことを知って動揺はするけれど千夏のことを嫌いになったりはしない。
まさに掃き溜めに咲いた恋花。泥臭い映像が切なさを募らせる。
やがて千夏とともに前へ進む決意をした達夫は元の仕事に戻る気になるが、障害やら不安から千夏はそれを素直には受け入れられない。

この映画は恋物語(というには甘さがほとんどないけれど)であるけれど、もちろん家族の物語でもある。
特筆すべきは菅田将暉の演技。
粗野で頭が悪くて敬語のひとつも使えない、すぐ頭に血が上るどうしようもなくダメな青年。
心根が優しいだけの、ひとりでは這い上がるすべを持たない、そんな青年を熱演。
いや、熱演してるけどそれを感じさせないほどリアル。
共喰いもよかったし。
彼は出演作のチョイスが素晴らしいね。

こういう映画をちゃんとスクリーンで見ることができて本当にうれしい。
そう思わせる映画。



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ある過去の行方 [映画]

アーマドは4年ぶりにパリに降り立った。
妻マリー=アンヌと正式に離婚手続きをするためだ。
彼女は父親の違う娘ふたりと、新しい恋人とその連れ子とともに新しい生活をすでに始めていた。

一見重厚な人間ドラマっぽい空気を醸し出しているのだが、うーんそうでもない。
出てくる大人が本当にダメな人が多くてうんざり。
4度目の結婚をしようとしているマリー=アンヌはその最たるもの。
別に離婚歴があるからダメという訳ではないが、あまりに自己愛が過ぎて嫌悪感を覚える。
こういう人は子どもを産まなくてもいいと思うんだけどなぁ・・・

再婚相手も結局は不倫からはじまった関係で、しかも妻は自殺未遂で植物状態。
その自殺未遂が誰のせいで起こしたことなのか、がこの映画のキモになっている。
キモになってはいるがそれが明かされたといって誰が救われるわけでもなく問題は解決しない。
というかそういう状況の相手と再婚するつもり、という女性の感覚がわたしにはさっぱり理解できない。
理解したくもない。

ま、よーするにまったく肌に合わなかった映画ということです。
新聞の映画評はやたらよかったんだけど、ええ、きっとわたしの感受性が貧しいのでしょうよ。笑
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