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日本の悲劇 [映画]

リストラされうつ病となり、妻子と離婚し実家に戻ってきた息子。
人生を立て直すつもりだったが母親が倒れ、看病に追われ就職活動どころではなくなる。
数年後母親は亡くなるが、今度は父親が癌に侵され、余命いくばくもないと宣告をうける。
父は一切の治療を拒否、自宅の自室に戻り、部屋中の入り口を釘で打ち付けミイラになる、と籠城する。
父の年金を頼って生きる息子に自分がしてやれることは静かに死に、そして彼が就職先を見つけるまで年金を受け取らせ続けることだけ、と思ってのことだった。

仲代達矢と北村一輝の演技対決の様相を呈した映画である。
仲代氏は全編において余裕たっぷりの演技。
対して北村氏は余裕と言うよりは全力で体当たり。
ひとりにしないでくれ、とあかない扉の前で子どものように泣きじゃくる男。
なんかあのシーンは本当にいたたまれなかったな。

それにしてもこの映画で描かれた日本の悲劇とか何だったのか。
介護に追われて就職活動できなかった中年の悲劇。
誰も訪ねてくることのない孤立した家の悲劇。

一家の稼ぎ頭が働けなくなったら、彼らの悲劇はどこか遠い場所で起こっているものではない。
明日は我が身、ごくごく身近なものなんだけど。
311の震災を交えてしまったことで、その悲劇の身近さが少し違う色合いになってしまったような気がする。
もちろん地震は人間が抵抗しえない悲劇のひとつではあるけれど、ここで出すのは違うんじゃないかなぁ、と。
もっと家族だけの濃密な話にしたほうが、この悲劇は今の日本がもっと真剣に考えなければいけないってことがより強く伝わるんじゃないのか。そんなふうにも思う。
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