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そこのみにて光り輝く [映画]

自分のミスで仕事仲間を殺してしまったと、仕事を辞めて怠惰な生活に明け暮れる達夫は、ある日パチンコ屋で人懐っこい青年の拓児と出会う。
誘われるまま彼の家に行くと、そこには寝たきりの父と無気力な母、そして家族のために一日働き通しの姉・千夏がいた。
達夫と千夏はひかれあうようになるが・・・

海炭市叙景の原作者、佐藤泰志の小説を映画化。
両作品とも原作は未読。映画はどちらも同時代に生きる人の話とは思えないほど貧しく暗い。
自分の家もけっこう貧乏だったと思っているのだが、これを見るとどれだけ恵まれた環境だったかが思い知らされる。

千夏は昼はイカの缶詰工場、夜は売春をして一家の暮らしを支えている。
家にしばられどこにも行けず、未来をあきらめ、ただひたすらに生きるだけの日々。
達夫は売春のことを知って動揺はするけれど千夏のことを嫌いになったりはしない。
まさに掃き溜めに咲いた恋花。泥臭い映像が切なさを募らせる。
やがて千夏とともに前へ進む決意をした達夫は元の仕事に戻る気になるが、障害やら不安から千夏はそれを素直には受け入れられない。

この映画は恋物語(というには甘さがほとんどないけれど)であるけれど、もちろん家族の物語でもある。
特筆すべきは菅田将暉の演技。
粗野で頭が悪くて敬語のひとつも使えない、すぐ頭に血が上るどうしようもなくダメな青年。
心根が優しいだけの、ひとりでは這い上がるすべを持たない、そんな青年を熱演。
いや、熱演してるけどそれを感じさせないほどリアル。
共喰いもよかったし。
彼は出演作のチョイスが素晴らしいね。

こういう映画をちゃんとスクリーンで見ることができて本当にうれしい。
そう思わせる映画。



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