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剛毛 [日記]

昨年の大みそかの夕方、年越し蕎麦を食べに蕎麦屋へ行った。
毎年その店には30日に行くのだけれど、ダンナのお腹の調子が悪かったので大みそかになってしまった。
そこは名古屋のガイドブックに蕎麦と言えばここ、とほぼ間違いなく名前が載る有名店(まあウチは近いから行くんだけど・・・)
夕方の早い時間に行ったので、あまり待たずに席に座れたものの、なかなか蕎麦が出てこないし、待っているお客さんがどんどん増えてくるしで、大みそかにこの店は来ちゃいけないね、と話していた。

んが。
しかし、である。

わたしたちの隣に男女三人連れが先に座っていた。
すでに天ぷらなどおつまみを数種類肴にし、御酒をきこしめしていた。

蕎麦屋で天ぬきを肴に日本酒をくいっと一合あけてさっさと帰る、というのはわたしの憧れ大人スタイルである。
でもそういうのはやはり渋い蕎麦屋でカウンターの片隅で、というのがイメージ(ま、テーブルでもいいんだけど)。
ましてやこの店は、そういうタイプの店ではないような気がするし、もしそういう客歓迎の店であったとしても、大みそかである。
蕎麦屋が一年で最も忙しい一日。
そんな日にその一行は延々とおつまみをちろちろ注文し、ビールを飲み、日本酒を飲む。
注文するたびに、このメニューはどんなだ、酒はなんだと店員を呼びとめる。

空気読めないのか、読まないのか、他人のことはどうでもいいのか、客としての特権だと思っているのか・・・
わたしは頼まれてもこの状況でのんびりお酒を飲むなんて芸当、できやしない。
だって店はそんなに広くなくて、待っている人のスペースは当然かなり狭いのである。
そこにあふれんばかりの人が立ってこちらを見ているのだ。
すげー、この人たちの心臓にはきっと剛毛が生えているに違いない。

結局わたしたちが注文した蕎麦は注文してから40分後に出てきた。
そしてそれを食べ終わる頃、ようやく彼らは席を立ったのであった・・・

あそこまで悠々とされると、人目を気にしてそわそわするわたしが小さい人間なのかと思えてくる。
でも確実にあの待っているお客さんたちの呪いはがっつり受け取ったんじゃないかと思うよ・・・
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