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カニバル [映画]

グラナダで仕立て屋を営むカルロス。
自宅とその向いにある店との往復、生真面目で規則正しい毎日を送る独身男性。
しかし、週末になると郊外へ出向き、女性を殺しては解体し、その肉を食べる殺人鬼だった。
同じアパートに越してきた女性を殺めたあと、その双子の姉ニーナが妹の行方を捜しにカルロスの前に現れる。
その美しさに食指を動かされると同時に、今までに感じたことのない感情をニーナに抱くのだった。

カルロスは腕のいい仕立て屋で、もちろん自らもパリッとしたスーツを着こなし、店や部屋も美しく整頓され、規則正しい生活。
それはあらぬ疑いを抱かれないためのカモフラージュでもあるのだろうが、もともとの性格でもあろう。
ひたすらに女性の肉を食べることを愛し、食事は少しのワインと(って、あれ血じゃないよね?さすがに)女たちの肉があればいい。
他人と食事をするシーンがあるけれど、女性の肉以外はおいしく食べられないようだ。
まさに徹底したカニバリスト。

残虐に殺すわけでもないし、解体シーンも直接的には出てこない。
おまけにカルロスの孤独を漂わせた表情と洗練された身のこなし、生活を見ているうちに、彼に嫌悪感などまったく感じなくなる観客は多いだろう。
ただカルロスの生い立ちや同業者らしき年配の女性との関係が見えず、何故彼がカニバリストになったかわからないし、同じ顔なのに妹でなく姉を愛したのか(だってニーナに一目ぼれっぽかった)。
いろいろ謎が多すぎて消化不良な部分が多い。

ふたりがお互いの思いを確認するシーンでは、あまりにカルロスの言葉が足りず、ニーナがとても傷ついているのに、それに気づかないのかカルロス、フォローなし。
それがもとで悲劇的な結末を迎えるのだが。
はがゆかったな~このシーン。
男はいつも二言くらい言葉が足らないのだ。
そのくせ要らぬことは一言多い(女はもっと多いけど)。
静謐さを感じる映像は美しく、一見に値する。
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