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悪童日記 [映画]

ナチスの台頭が世界に影を落とす、大戦中のハンガリーが舞台。
美しい双子の兄弟は、軍の休暇で戻ってきた父に飛びつき、お土産の大きなノートとマフラーをもらい、爪を切ってもらい、穏やかな食事をする。
しかしそんな光景は一瞬で立ち消える。
母は20年以上も音信不通だった田舎の母親の元へ双子を疎開させ、ひとり都会へ戻っていく。
母は祖母を悪魔と呼び、祖母は母をメス犬と呼ぶ。
かわいい孫であるはずの双子にも笑顔ひとつ見せず、働かなければ食事をさせないありさま。
世の中はすさみ、大人たちはささいな理由で双子に鉄拳をふるう。

母と離れた辛さ、空腹、暴力に耐えるため、双子は己の鍛錬をはじめる。
お互いの体を気絶するまでベルトで叩き、絶食をして空腹に耐える訓練・・・
残酷さに慣れるために、小さな虫たちを殺していく。

寝覚めの悪い、残酷な童話を見るようだ。
いろいろな人がいる。悪い人ばかりではない。
いい人もいる。いい人なのか悪い人なのか、言動が極端な人もいる。
そういう人たち・・・大人たちが双子と少々の縁を結び、死んでいったり去っていったりする。

冒頭で見せた無垢な双子の目つきが変わっていくさま。
しかし彼らは悪童なのか?確かに悪いことはしているけれど、そうしむけているのは大人たち。
ただ懸命に生きているだけだ。
彼らの変化を当たり前のたくましさと思うか、悲しいことと嘆くか。

父親に与えられた大きなノート(原作小説の原題は「大きな帳面」だそうだ)に書き綴る、彼らの成長・・・進化の過程が映像に取り込まれていて、紙芝居を見ているようでもある。

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